RTX 4070でQwen 35Bを2.8倍速くする
ローカルLLM 高速化・チューニングの実測ノート llama.cpp 実践ガイド
RTX 4070 × Qwen 35B — llama.cppのフラグ2つで 12.2 → 34.6 tok/s、2.8倍
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01 はじめに
はじめに
12GBのGPUに、35Bのモデルは載らない。少し前なら、そう言って話は終わりでした。
けれど私のRTX 4070は、いま手元で35BクラスのローカルLLM、Qwen3.5-35B-A3Bを34.6 tok/sで動かしています(後継の3.6も同じレンジです)。Ollamaの自動設定では12.2 tok/sだったものを、設定を2つ変えるだけで2.8倍にした数字です。家庭用GPUでも、35Bは思ったより速く、十分に賢く、ちゃんと働きます。
本書は、そこに至るまでを、すべて私自身がこの1枚のRTX 4070で計測した数字だけで書いた実践書です。借りてきた数字は使いません。
この本が扱うこと
本書は、家庭用GPU(RTX 4070 12GB)でQwen3.5/3.6-35B-A3Bを動かし、速く・賢く・働かせるところまでを扱います。
扱う問いは5つあります。
- どうすればOllamaの12.2 tok/sを、2.8倍の34.6 tok/sまで引き上げられるか
- その速い設定で、賢さは本当に落ちていないのか
- Qwen3.5と3.6の世代差は、速度でないなら何に出るのか
- ローカルの35Bを、コーディングエージェントとして実際に働かせられるか
- そして、これらの数字を、どこまで信じてよいのか
これらに、私は手元のコマンドと実測値とスクリーンショットで答えていきます。
対象読者と賞味期限
本書は、ローカルLLMをすでに一度は動かしたことがある人に向けて書いています。もっと速く動かしたい、もっと賢く使いたい、日々の道具として働かせたい、という段階の方です。インストールの最初の一歩は付録に薄く置くだけにとどめました。
本書にはもう一つ、裏テーマがあります。「自分の数字を疑う」ことです。ローカルLLMの計測は、共用のPCで雑多なプロセスが動く中で行います。だから数字は簡単に汚れます。本書が品質検証や世代比較に入る前に計測の作法(第4章)を置いた理由は、すぐ次の序章で書きます。
最後に正直なことを。ここに載せた数字は、2026年6月の特定のモデル・ドライバ・GPUで私が測ったものです。モデルは更新され、ツールは変わり、数字もいずれ古びます。本書を「唯一の正解表」としてではなく、「自分の環境で測り直すための補助線」として読んでいただけると、いちばん長く役に立つはずです。
では、本編に入りましょう。
この続きはKindleで →02 序章 借り物のベンチマークは、あなたのGPUを知らない
序章 借り物のベンチマークは、あなたのGPUを知らない
新しいモデルが出るたびに、開発元は華やかなベンチマークを公開します。前世代より何割速い、あのモデルを上回る。数字は立派です。けれど、その数字が出たのは、あなたの机の上のGPUではありません。
私の手元にあるのは、RTX 4070が1枚です。12GBのVRAM、家庭用の1枚。データセンターのGPUでも、複数枚構成でもありません。同じモデルでも、この1枚の上で出る数字は、公式の表とは違います。だから本書は、借り物のベンチマークを引用しません。すべて、この1枚のRTX 4070で、私が自分の手で測ります。
なぜローカルで、なぜ35Bか
クラウドのAPIを叩けば、もっと賢いモデルがすぐ使えます。それでもローカルで動かす理由は、3つあります。叩くたびの課金がゼロになること。コードもデータも、自分のPCの外に出ないこと。そして、好きなだけ、何度でも試せること。
問題は速度でした。35BクラスのLLMは重く、家庭用GPUでは遅くて使い物にならない、というのが通り相場です。本書はそこに反論します。Ollamaの自動設定で12.2 tok/sだったQwen 35Bを、設定を2つ変えるだけで34.6 tok/sにします。2.8倍です。家庭用GPUの35Bは、実用ラインに乗ります。
ただし、自分の数字にもだまされる
自分で測ることには、落とし穴もあります。
私は一度、新しいQwen3.6が前世代の半分の速度しか出ず、世代が劣化したと記事に書きかけました。実際には、私のGPUのVRAMを別のプロセスが握っていただけで、モデルには何の罪もありませんでした。遅かったのは、モデルではなく私の計測環境です(この一件は第6章で扱います)。
借り物のベンチマークも信用しません。けれど、自分の出した数字も鵜呑みにしません。本書が最後まで手放さない態度は、この「自分の数字を疑う」です。だから品質検証や世代比較に入る前に、計測そのものを疑う章(第4章)を置きました。
この本の地図
これから測るのは、家庭用GPUで35Bを「速く・賢く・働かせる」までの全工程です。本書は3部構成です。
- 第1部 速く動かす: 勝ち構成で2.8倍にし(第2章)、メモリと文脈をやりくりする(第3章)
- 第2部 速さと賢さ、世代を測る: 計測の作法(第4章)を土台に、品質(第5章)と世代差(第6章、第7章)を測る
- 第3部 働かせる: ローカル35Bをエージェントにし(第8章)、2つのCLIを比べ(第9章)、Qwen Codeを使いこなす(第10章)
借り物のベンチマークではなく、この1枚のRTX 4070で測った実測を3部で積み上げる
最後に、実測から持ち帰れる知見を終章にまとめます。
まずは、そもそもなぜ12GBのGPUに35Bが載るのか、その理屈から始めましょう。
この続きはKindleで →03 第1章 なぜ4070でローカル35Bか
第1章 なぜ4070でローカル35Bか
第1部 4070で35Bを速く動かす
12GBのGPUに、35Bのモデルが載る。この一文を、少し前の常識で読むと矛盾しています。
4bit量子化しても、35Bのモデルの重みはおよそ20GBあります。12GBのVRAMには、どう考えても入りきりません。それなのに、本書はRTX 4070でQwen3.5-35B-A3Bを34.6 tok/sで動かします。なぜ入りきらないものが動くのか。答えは、このモデルが「35BのDenseなLLM」ではなく、MoEと呼ばれる仕組みでできているからです。
35Bのうち、実際に動くのは3Bだけ
Qwen3.5/3.6-35B-A3Bという名前には、2つの数字が入っています。35Bが総パラメータ数、A3Bの3Bが、推論時に実際に活性化するパラメータ数です。Aは Active(活性)の頭文字です。
これがMixture-of-Experts(MoE)という設計です。モデルの中には多数の「エキスパート」と呼ばれる小さな専門家集団があり、トークンを1つ生成するたびに、その中のごく一部だけが選ばれて働きます。35Bぶんの専門家を抱えてはいるものの、1トークンごとに動くのは、そのうちの3Bぶんだけなのです。
Denseなモデル、つまり毎回すべてのパラメータが働くモデルとは、ここが決定的に違います。Denseな35Bは、1トークンごとに35Bすべてを計算します。MoEの35B-A3Bは、35Bを抱えながら、毎回の計算は3B相当で済ませます。
この「抱えるパラメータは大きいが、毎回動くのは小さい」という性質が、家庭用GPUでの逆転を生みます。
Denseは毎回全パラメータを計算する。MoEは35Bを抱えつつ、毎回動くのは約3Bぶんだけ
「全部GPUに載せない方が速い」という入口
普通に考えれば、モデルは全部GPUに載せたほうが速いはずです。GPUはCPUより圧倒的に速いのだから、と。
ところがMoEでは、この直感が裏切られます。本書の勝ち構成は、エキスパートをあえてGPUに載せず、CPU側に退避させる設定です。フラグで言えば --cpu-moe。詳しい中身は第2章で測りますが、ここでは「全部GPUに詰め込むより、計算が軽いエキスパートはCPUに逃がしたほうが、全体としては速くなる場面がある」という反直感だけ、頭の隅に置いてください。
なぜそうなるかの理屈も第2章で扱います。鍵になるのは、エキスパートの計算が疎で軽いこと、そしてGPUに本当に置きたいのはエキスパートではなく別の部分だ、ということです。
コラム: Qwenとは何者か
ここで一度、私たちがこれから測り続けるモデルの素性を確認しておきます。
本書が測るQwenは、Alibaba Cloudが開発する大規模言語モデル群です。中国語名は通義千問(Tongyi Qianwen)、「意味を通し、千の問いに答える」という意味になります。前身は2020年のマルチモーダルモデルM6で、2022年に立ち上がったTongyi Labがこの系譜を受け継ぎました。
公開の歩みは駆け足です。年表で並べます。
- 2023年4月: 「通義千問」名でベータ公開
- 2023年8月: 7B / 72B / 1.8B をオープンウェイトで配布開始
- 2024年6月: Qwen2 を公開
- 2025年4月: Qwen3。MoE を採用
- 2025年11月: Qwenチームの注意機構の論文「Gated Attention」が NeurIPS 2025 の Best Paper を受賞
- 2026年1月時点: 累計ダウンロード7億超、派生モデルは20万を超え、オープンLLMで世界初の規模に
Alibaba Cloudがオープンウェイトで配り続けた系譜の先に、本書が測る35B-A3Bがある
本書が扱う35B-A3Bも、この系譜に連なるApache 2.0のモデルです。面白いのは、Best Paperを受賞したGated Attentionの考え方が、直後の世代のQwenモデル群に反映されていると各所で語られている点です。学会で最高評価を得たばかりの研究が、いま私の手元のGPUで動くモデルの近縁に位置している、というくらいの距離感で捉えてもらうのがちょうどよさそうです。
そして「A3B」。総パラメータ35Bのうち、推論時に実際に動くのは3Bだけ。これがMoEの肝で、12GBのRTX 4070でも35B級が実用速度で動く土台になります。重みそのものは20GBあり、GPUに全部は載りません。そこをどう収めるかは、第2章の --cpu-moe で扱います。
皮肉も書いておきます。2026年4月、Qwenのフラッグシップ(3.6-Max)は、3年の歴史で初めて重みを公開せずAPI限定になりました。それでも私が手元のGPUに載せて好きなだけ叩けるのは、彼らが「配ってくれた」オープンウェイトのモデルだからです。手元で測れること自体、当たり前ではありません。
このコラムの事実は、Wikipedia・Qwen公式ブログ・モデルカード・NeurIPSとAlibabaの公式発表で裏を取っています。出典は巻末の参考文献にまとめました。制作秘話の類は、出回っている情報の真偽が確かめにくいので、本書では裏の取れた事実だけを書いています。
ここまでの整理
12GBのGPUで35Bが動くのは、Qwenが35B-A3BというMoEモデルで、毎回動くのは3Bぶんだけだからです。そして本書の主役は、Alibaba Cloudがオープンウェイトで配ってくれた、Apache 2.0のモデルです。
理屈はわかりました。では、その理屈を使って、実際にどれだけ速くできるのか。ここからは数字の話です。
この続きはKindleで →04 第2章 勝ち構成 --cpu-moe で2.8倍
第2章 勝ち構成 —cpu-moe で2.8倍
結論から書きます。Ollamaの自動設定で12.2 tok/sだったQwen3.5-35B-A3Bは、llama.cppの次の設定で34.6 tok/sになりました。2.8倍です。
llama-server -m qwen35.gguf -ngl 99 --cpu-moe -c 4096
たった2つのフラグ、-ngl 99 と --cpu-moe。これが本書で言う「勝ち構成」です。この章では、なぜこれが効くのか、そして雑に真似しても再現しない理由までを、実測値で追います。
検証環境は次のとおりです。RTX 4070(12GB)、RAM 31GB、WSL2 Ubuntu 24.04、CUDA 12.9。モデルはQwen3.5-35B-A3BのQ4_K_M量子化(20.49 GiB、34.66Bパラメータ)です。
ベースライン: Ollamaの12.2 tok/s
まず、何もチューニングしない状態を測ります。Ollama 0.20.2に同じモデルを読ませると、生成速度は12.2 tok/sでした。このときOllamaは自動で、モデルの58%をCPU、42%をGPUに振り分けています。VRAM使用量は約11.4GBでした。
この12.2 tok/sは、決して異常な遅さではありません。Ollamaは賢く自動オフロードをしてくれていて、35Bが12GBのGPUで動いている時点で十分立派です。問題は、この自動配分が「MoEにとっての最適」ではない、という点です。
勝ち構成: エキスパートだけCPUに逃がす
llama.cppに切り替えて、配分を手で指定します。
-ngl 99 は、モデルの全層をGPUに載せる指定です。99という数字は「全部」を表す慣用で、実際の層数(48)を超えていれば全層を意味します。一見すると、12GBに収まらないはずです。
そこに --cpu-moe を足します。これは「MoEのエキスパートだけはCPUに置く」という指定です。全層をGPUに、と言いながら、エキスパートだけは例外的にCPUへ逃がす。結果として、GPUにはアテンションとKVキャッシュが載り、CPUには疎なエキスパート計算が載ります。
この配分で、生成速度は34.6 tok/sになりました。VRAM使用量は11.7GB、12GBの95%まで使い切っています。
なぜエキスパートをCPUに逃がすと速くなるのか。理屈はこうです。
- エキスパートの計算は疎です。1トークンで動くのは128個中8個だけなので、CPUでも負担が軽い
- 一方、アテンションとKVキャッシュは、メモリ帯域の速さがそのまま速度に効きます。GPUの帯域(数百GB/s)はCPUの帯域(数十GB/s)を圧倒します
- 12GBにエキスパートまで無理に詰め込むと、帯域が効くアテンションとKVキャッシュの置き場が削られ、全体が破綻します
つまり最適解は、「帯域が効く部分はGPUに全部、計算が疎なエキスパートはCPUに」という役割分担なのです。
帯域が効く部品はGPUに、疎な計算はCPUに。この役割分担が2.8倍の正体
手元で再現する
借り物でない数字なので、再現の手順も全部出します。まずllama.cppをCUDA有効でビルドします。
cmake -B build -DGGML_CUDA=ON
cmake --build build --config Release -j
速度の計測には、付属の llama-bench を使いました。生成側はトークンを128個生成する条件(tg128)で、複数回試行して測ります。
./build/bin/llama-bench -m qwen35.gguf -ngl 99 -ncmoe 48 -n 128 -r 3
-ncmoe 48 は --cpu-moe と同じ意味で、48層すべてのエキスパートをCPUに置く指定です。この数字を変えれば、次のスイープがそのまま再現できます。実際にサーバとして使うときは、同じフラグでllama-serverを立てます。
./build/bin/llama-server -m qwen35.gguf -ngl 99 --cpu-moe -c 4096
オフロード比率スイープの全実測
「全部CPUに逃がす」が本当に最適なのか。エキスパートを少しずつGPUに戻していくと、速度はどう動くのか。-ngl 99 を固定したまま、CPUに置くエキスパート層の数(n_cpu_moe)を変えてスイープした全結果が、次の表です。
| n_cpu_moe | GPU側のエキスパート層 | 生成速度 tg128 (tok/s) | ベースライン比 |
|---|---|---|---|
| 48 | 0(全CPU) | 34.60 | 2.8倍 |
| 44 | 4 | 27.19 | 2.2倍 |
| 40 | 8 | 16.88 | 1.4倍 |
| 36 | 12 | 15.29 | 1.3倍 |
| 32 | 16 | 14.06 | 1.2倍 |
| 28 | 20 | 12.85 | 1.1倍 |
| 24 | 24 | 11.71 | 0.96倍 |
エキスパートをGPUに戻すほど速度は落ち、24層まで戻すとOllamaの自動設定すら下回る
きれいな単調変化です。エキスパートをGPUに戻せば戻すほど、速度は落ちていきます。24層をGPUに戻すと、もうOllamaのベースラインを下回ります。
この表が示すのは、--cpu-moe(=全エキスパートをCPU)が、中途半端な配分よりはっきり速いということです。「GPUに載るだけ載せる」が最適だと思い込んでいると、ちょうど遅い側に倒れます。
雑に真似しても再現しない
ここで一つ、釘を刺しておきます。この34.6 tok/sは、上のコマンドをコピーすれば誰でも出る数字、ではありません。
第一に、VRAMが本当に空いている必要があります。裏で別プロセスがVRAMを握っていると、エキスパートをCPUに逃がしてGPUに置いたはずのアテンションが、そもそも載りません。私はこの計測の前に、Windows側のVRAM専有を解放してから測っています。
第二に、思考モードの扱いです。Qwen3.5は thinking機能を持つため、素のまま使うと自明な問いにも延々と思考トークンを使い、回答にたどり着かないことがあります。速度や品質を測るときは、この挙動を意識して条件をそろえる必要があります。
第三に、量子化とビルドです。ここでの数字はQ4_K_M量子化、CUDA有効でビルドしたllama.cppでのものです。量子化レベルやビルドオプションが違えば、当然数字も動きます。
速い設定は手に入りました。けれど、この勝ち構成にはまだ書いていない代償があります。VRAMをほぼ使い切ることです。長い文脈を読ませたり、エージェントを動かしたりするには、メモリの余白をどう作るかという、もう一段のやりくりが要ります。次はその話です。
この続きはKindleで →本書の概要
12GBのRTX 4070でローカルLLMを高速化・チューニングする全工程を、私が1枚のGPUで自ら測った数字だけで書いた実践ガイド。llama.cppの -ngl 99 --cpu-moe で12.2→34.6 tok/s(2.8倍)、KVキャッシュ量子化での文脈8倍化、標準7問の品質検証、Qwen3.5と3.6の世代差、claw-code/Qwen Code CLIでのエージェント化まで。全10章+序章+付録。序章・第1章・第2章は無料公開。
この本でできるようになること
- Ollama自動設定の12.2 tok/sを、`--cpu-moe` を含む勝ち構成で34.6 tok/s(2.8倍)まで引き上げられる
- KVキャッシュのq8_0量子化で、同じVRAMのまま文脈長を4096→32768に伸ばせる
- 標準7問セットで「速くしても賢さが落ちていない」ことを自分で検証できる
- Qwen3.5と3.6の世代差が、速度でなくどこに出るのかを実測で見分けられる
- claw-code / Qwen Code CLI にローカル35Bをつないで、コーディングエージェントとして働かせられる
対象読者
- 【中級者】ローカルLLMは動かしたが、Ollama自動設定の遅さで頭打ちになっている人
- 【自作PC派】RTX 4070/4070Ti/4070Ti Super等12GBクラスのGPUで35Bを試したい人
- 【llama.cpp派】`-ngl 99 --cpu-moe` の意味と数値効果を、自分の目で確かめたい人
- 【エージェント開発者】ローカルモデルをclaw-codeやQwen Code CLIの頭脳に据えたい人
- 【計測に慎重な人】借り物のベンチマークではなく、自分のGPU上の実測値で判断したい人
- 【コスト志向】クラウドAPI課金を止め、手元で無制限に試したい人
この本で解決できる悩み
- Ollama自動設定で回すと35Bが遅くて、実用ラインに載らない
- `--cpu-moe` を有効化すべきか、GPUに全部載せるべきか、直感が働かない
- 12GBのVRAMで、コンテキスト長をどこまで伸ばせるのか分からない
- 速くするフラグを入れると品質が落ちるのでは、と怖くて踏み切れない
- Qwen3.5と3.6のどちらを使うか、公式の比較表からは決められない
- ローカルモデルをコーディングエージェントに据えると、tool callが空振りしがち
この本の立ち位置
- 実測寄り (借り物のベンチマークを一切引用しない、著者のRTX 4070 1枚での自測)
- 家庭用GPU特化 (データセンターGPU・複数枚構成は扱わない)
- 中級者向け (インストール手順は付録に薄く、勝ち構成の理屈と検証が本題)
- 縦深型 (速度→品質→世代差→エージェント化まで、1つのGPUで縦に掘る)
なぜこの本か
- 全ての数字が著者のRTX 4070 1枚の実測。公式リリースノートの数値を引用しない
- 「なぜ速いのか」の理屈(MoE、`--cpu-moe`、帯域律速)を、数字で裏付けながら説明
- 『自分の数字も疑う』章(第4章)を独立させ、VRAMを別プロセスが握っていた失敗も公開
- Qwen3.5と3.6の世代差検証は、速度が同じレンジであることを見せた上で、どこに差が出るかまで踏み込む
- claw-code(Rust製)とQwen Code CLI(Gemini CLIフォーク)の自走度を、同じローカル35Bで比較
他のAI本との違い
| 比較対象 | 本書の違い |
|---|---|
| Qwen公式リリースノート | 公式はデータセンターGPUでのベンチが中心。本書は家庭用RTX 4070 1枚での実測に絞り、家庭用GPUで再現できる数字だけを扱う |
| llama.cpp公式README | READMEはフラグの網羅解説。本書は`-ngl 99 --cpu-moe`が勝ち構成である理由と、数字上の効き幅を実測で示す |
| Ollamaチュートリアル記事 | Ollamaは動かすところまで。本書はOllama自動設定の12.2 tok/sから2.8倍に引き上げる、その先を扱う |
目次
導入 — 借り物の数字を捨てる
公式ベンチはあなたのGPUを知らない。本書が引用せず自分で測る理由と、全体の地図
- はじめに 無料公開
- この本が扱うこと
- 対象読者と賞味期限
- 序章 借り物のベンチマークは、あなたのGPUを知らない 無料公開
- なぜローカルで、なぜ35Bか
- ただし、自分の数字にもだまされる
- この本の地図
第1部 4070で35Bを速く動かす
MoEの仕組みから勝ち構成へ。Ollama自動設定の12.2 tok/sを34.6 tok/sに引き上げ、KVキャッシュ量子化で文脈を8倍に伸ばす
- 01 第1章 なぜ4070でローカル35Bか 無料公開
- 1-1 35Bのうち、実際に動くのは3Bだけ
- 1-2 「全部GPUに載せない方が速い」という入口
- 1-3 コラム: Qwenとは何者か
- 1-4 ここまでの整理
- 02 第2章 勝ち構成 --cpu-moe で2.8倍 無料公開
- 2-1 ベースライン: Ollamaの12.2 tok/s
- 2-2 勝ち構成: エキスパートだけCPUに逃がす
- 2-3 手元で再現する
- 2-4 オフロード比率スイープの全実測
- 2-5 雑に真似しても再現しない
- 03 第3章 メモリと文脈をやりくりする
- 3-1 VRAMには何が載っているか
- 3-2 KVキャッシュを量子化する
- 3-3 文脈長は「使うぶんだけ」
第2部 速さと賢さ、世代を測る
計測そのものを疑う章を土台に、品質と世代差を測る。速くした構成のまま賢さが残っているかを確かめる
- 04 第4章 計測の作法。数字を出す前に
- 4-1 tok/sは、どう測ると安定するか
- 4-2 VRAMの状態が、結果を汚す
- 4-3 ベンチマーク飽和: 単発タスクでは差が出ない
- 4-4 本書の測定プロトコル
- 05 第5章 速くて賢いか
- 5-1 標準7問の設計
- 5-2 結果: 7問すべて正解
- 5-3 速さと賢さは、この範囲では両立した
- 06 第6章 世代を測る 3.5 vs 3.6
- 6-1 半速に見えたのは、計測のひっかけだった
- 6-2 では、世代差はどこに出るのか
- 6-3 標準7問では差が出なかった
- 07 第7章 名作プログラムで見る世代差
- 7-1 テトリス: 互角
- 7-2 マンデルブロ集合: わずかに3.6
- 7-3 ライフゲーム: 互角
- 7-4 単発タスクは飽和する、の実例
第3部 ローカル35Bを働かせる
速くて賢いと分かったモデルを、コーディングエージェントとして日常の道具に落とす
- 08 第8章 ローカルQwenをエージェントに
- 8-1 claw-codeにローカルQwenをつなぐ
- 8-2 3つの罠
- 8-3 日常の道具に落とす
- 8-4 何を委託し、何を母艦に残すか
- 09 第9章 2エージェントCLI比較。自走度の限界を測る
- 9-1 5回の試行で見えたこと
- 9-2 必須レシピ: --jinja と 大文脈
- 9-3 2つのCLIの性格
- 9-4 正直に書く、自走の限界
- 9-5 ローカルなら課金はゼロ
- 10 第10章 Qwen Codeを使いこなす
- 10-1 ローカルのQwenに繋ぐ
- 10-2 承認モードで自走の手綱を握る
- 10-3 スクリプトから呼ぶ
- 10-4 さらに任せる仕組み
- 10-5 文脈をどう食うかを忘れない
巻末
実測から持ち帰る原則、セットアップ手順、次に読む本
- 終章
- チューニングの原則
- メモリは量子化で伸ばす
- 自分の数字を疑う
- 物差しが短いと差は見えない
- ローカルに何を任せるか
- 付録 セットアップ
- 2台構成という選択
- Tailscale越しに叩く
- WSL2常駐の罠
- 入門の一歩は、外に置いた
- あとがき
- 次に読む5冊 無料公開
- 参考文献 無料公開
- 著者について 無料公開
- 奥付 無料公開
12GBのVRAMに、35Bは載らない。少し前の常識ではそう言われていました。けれど私のRTX 4070は、いま手元でQwen3.5-35B-A3Bを34.6 tok/sで動かしています。Ollama自動設定の12.2 tok/sから、llama.cppのフラグを2つ変えるだけで2.8倍にした数字です。
本書は、そこに至るまでを、すべて私自身が自分のRTX 4070 1枚で測った数字だけで書いた実践書です。借りてきたベンチマークは1本も入っていません。
速く動かし(第1部)、賢さが落ちていないかを検証し(第2部)、コーディングエージェントとして働かせる(第3部)まで、家庭用GPU1枚で縦に掘ります。裏テーマは「自分の数字を疑う」です。だから品質検証や世代比較に入る前に、計測そのものを疑う章(第4章)を挟みました。
「借り物の数字は速いが、あなたのGPUを知らない。」
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よくある質問
- 「RTX 4070でQwen 35Bを2.8倍速くする」はどんな本ですか?
- VRAM 12GBのRTX 4070 1枚で、Qwen 35B-A3Bを12.2 tok/sから34.6 tok/sまで引き上げた過程を、すべて自分で測った数字で書いたローカルLLM高速化の実測ノートです。llama.cppの -ngl 99 --cpu-moe による勝ち構成、KVキャッシュ量子化での文脈8倍化、標準7問の品質検証、コーディングエージェント化まで、全10章に序章と付録が付きます。
- VRAM 12GBのGPUで35Bクラスのモデルが動くのはなぜですか?
- Qwen 35B-A3BがMoE(Mixture of Experts)で、35Bのうち実際に動くのは3Bだけだからです。エキスパート層をCPUに逃がす --cpu-moe を使うと、GPUには常時使う層だけが残ります。全部をGPUに載せるより速くなるという反直感の構成を、第1章と第2章で数字とともに説明します。
- どんな読者向けですか?
- ローカルLLMは動かしたものの、Ollamaの自動設定のままで遅さに頭打ちしている中級者向けです。RTX 4070/4070 Ti など12GBクラスのGPUを持つ人、借り物のベンチマークではなく自分のGPU上の数字で判断したい人に向きます。インストール手順は付録に薄く置いてあるだけで、入門書ではありません。
- 無料で読める範囲はどこまでですか?
- Zenn Book版で「はじめに」「序章」「第1章 なぜ4070でローカル35Bか」「第2章 勝ち構成 --cpu-moe で2.8倍」を無料公開しています。2.8倍にする勝ち構成そのものが第2章にあるので、無料の範囲だけでも手元で再現できます。
- どこで購入できますか?
- Kindle版(Amazon、1,200円)とZenn Book版(1,200円)があります。KDP Selectには入れていないため、Kindle Unlimitedの読み放題対象ではありません。
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