LLMOだけでは読まれない。llms.txt完備のサイトで、AI経由の流入は3%だった
このサイトには、LLMO (Large Language Model Optimization) の道具立てが一通り入っています。llms.txt、全記事を束ねたllms-full.txt、AI向けの出版物一覧、ページごとのJSON-LD、canonicalの整理。AIに読まれる準備は万端でした。読みに来る人間がいるかどうかを除けば。
で、実際どうなのか。GA4で直近28日の流入元を引いてみました。
AI経由は全体の3%弱だった
ChatGPT、Perplexity、Claude、Gemini。AIアシスタントの回答からリンクを踏んで来た人は、この4種類合わせて全セッションの3%弱でした。内訳はChatGPTが過半で、残りをPerplexity・Claude・Geminiが分け合う形です。
日割りにすると、1人も来ない日がある水準です。LLMOをフル実装したサイトの「AIが連れてくる読者」は、2026年8月時点ではこのくらいが相場だと思ってください。
比較対象を並べると輪郭がはっきりします。同じ28日間で、
- コミュニティへの配信 (Qiita、TabNews、X) からの流入は、AI経由の約20倍
- 検索エンジンからの流入は、AI経由の約5倍
でした。読者を連れてくる仕事は、依然として人間向けのチャネルが担っています。
クローラーは来ている。人間が来ていない
紛らわしいので切り分けておきます。AIの「クローラー」は山ほど来ています。GPTBot、ClaudeBot、PerplexityBot。サーバーログを見れば連日巡回していて、その様子は別の記事に書きました。llms.txtもちゃんと読まれています。
つまり「AIに読まれる」は達成できているんです。達成できていないのは「AIの回答経由で人間に読まれる」のほうです。クローラーの訪問はサーバーログに積もりますが、収益にも読者にもなりません。この2つを混ぜると、LLMOの効果を実際より大きく見積もることになります。
もうひとつ、逆方向の留保もあります。GA4はLLMOの効果を過小計測します。AIが記事の内容を回答に取り込んでも、ユーザーがリンクを踏まなければセッションとして記録されません。回答の中で名前が出る、いわゆるゼロクリックの価値は3%の外側にあります。ブランドの指名検索や書籍の購入にどれだけ効いているかは、この計測では見えません。
見えない価値がある。それは本当です。ただ、見えない価値を根拠に施策を積むのは、財布に優しくない趣味だとも思います。
なぜLLMOだけでは読まれないのか
構造の話をします。AIアシスタントが回答で引用するのは、インデックスされていて、被リンクがあって、そのトピックで既に信頼されているページです。つまりAIの引用は、検索と配信で作った土台の関数です。
LLMOはこの土台に掛かる増幅器として働きます。下地があるページはllms.txtや構造化データの整備でより引用されやすくなります。下地がないページは、どれだけAI向けに整えてもゼロに係数を掛けるだけです。
実際、このサイトでAIが連れてきた数少ない訪問も、検索やコミュニティで既に読まれている記事に集中していました。「X経由で読まれ、検索に載り、その後にAIが引用される」という一方通行で、逆に流れた形跡はありませんでした。
それでもllms.txtを剥がさない理由
私はLLMOのフレームワークを公開して、この領域で仕事もしている側の人間です。その立場で「LLMOを入れれば読まれる」と言うのは簡単ですが、自分のサイトの数字がそれを許してくれません。売り物の看板に偽りが出るくらいなら、先に数字を出しておくほうが安くつきます。
それでもLLMOを剥がさないのは、3つ理由があります。
時間軸が違う。 AI経由の流入は、業界全体で見れば伸びている側のチャネルです。いまの3%は、検索が生まれた頃の「そんなもので人が来るのか」と同じ位置にいる可能性があります。割合が意味を持ってから慌てて整備するより、いま整えておくほうが安い。
維持コストがほぼゼロ。 llms.txtもJSON-LDも、一度ビルドパイプラインに組み込めば勝手に更新されます。月に数十人でも追加の読者が来るなら、ランニングコストゼロの施策としては悪くありません。
引用は流入の先にある。 ゼロクリックでも、AIの回答に名前が出ること自体には価値があります。ただしこれは前段の構造の通り、配信と検索で読まれているページにしか起きません。だからこの理由は「LLMOをやる理由」ではあっても「LLMOだけでいい理由」にはなりません。
順番の話
まとめると、読まれるための力学はこうなっています。
- 配信が最初の読者を連れてくる (コミュニティ、SNS)
- 読まれた記事が検索に載り、テールを拾い続ける
- 読まれてきた記事をAIが引用し、LLMOがそれを増幅する
LLMOは3番目の装置です。1と2を飛ばして3だけ整備しても、増幅する対象がありません。llms.txtは種まきではなく受け皿です。
私自身、このサイトの記事を「置けば読まれる」ものとして扱っていた時期がありました。今回の計測はその思い込みへの答え合わせで、答えは3%弱でした。受け皿は整った。次にやるべきは、そこに注ぐ側の仕事です。
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