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技術書116冊のA+コンテンツを数えたら、個人出版は53冊中11冊しか入れていなかった

※ 本ページにはAmazonアソシエイトリンクが含まれます。クリック先での購入により著者に紹介料が入る場合があります。

技術書をKindleで出しています。

実践Claude Code、LLMを「嘘つき」から「専門家」に変える技術、ハーネス・エンジニアリング、ナレッジグラフ活用大全の4冊の表紙を横に並べた画像。いずれもKindleで販売中で、A+コンテンツを入れるか迷ったのはこの本たちの商品ページ

全冊の一覧は kenimoto.dev の書籍ページ にあります。

とある技術書を読んでいたときに、商品ページの下のほうに画像入りの説明が組まれているのを見つけました。章ごとの紹介が並んでいて、同じ著者の他の本が横に表になっている。これ、どうやって設定するんだろう。

調べたら「A+コンテンツ」という枠でした。KDPで本を出していれば、追加費用なしで作れます。審査は最大8営業日、作業は半日ぐらい。

自分も入れるか、と思ったところで手が止まりました。

そう言われてみると、他で見た記憶がほとんどない。

私が普段買う技術書の商品ページは、たいてい文章だけです。

効果がないから誰も入れていないのか。それとも、単に知られていないだけなのか。

どちらなのかは、数えれば分かります。

技術書116冊の商品ページをブラウザで開いて、A+コンテンツの中身を抜き出しました。

結果を先に書きます。出版社の57%が入れていて、個人出版は21%でした。

A+コンテンツとは何か

Amazonの商品ページで、「商品の説明」のあたりに出てくる画像入りのブロックです。通常の商品説明がテキストだけなのに対して、画像・表・見出しを組んだレイアウトを置けます。KDPで本を出している著者なら、追加費用なしで作れます。ブランド登録もセラーアカウントも要りません。本を1冊でも出していれば、その日から使えます。Amazonは自社の紹介ページでこう書いています。

Basic A+ Content can increase sales by up to 8%—and well-implemented Premium A+ Content can increase sales by up to 20%

A+ Content | Sell on Amazon

「平均」と書いていません。「最大」です。

それと、20%のほうは Premium A+ の数字で、こちらはブランド登録が要ります。KDPの著者が使えるのは Basic のほうなので、関係する数字は最大8%です。

自社ツールの宣伝ページに書かれた数字なので、そのまま信じる性質のものではありません。この記事でも効果の検証はしていません。私が測ったのは「どれだけの本が入れているか」だけです。

数え方

PinchTab というローカルのヘッドレスブラウザに商品ページを開かせて、DOMから抽出しました。Amazonは商品ページをbotに素直に返さないので、実ブラウザで開いています。

A+コンテンツは #aplus.aplus-v2 の中に入っていて、各ブロックは .aplus-module というクラスを持っています。モジュールの種類はクラス名の後ろに付きます。

JSON.stringify((() => {
  const root = document.querySelector('#aplus,.aplus-v2,#aplus_feature_div');
  const title = (document.querySelector('#productTitle')?.innerText || '').trim();
  if (!root || !root.innerText.trim()) return { title, aplus: false };

  const mods = [...root.querySelectorAll('.aplus-module')].map(m => {
    const cls = (m.className.match(/aplus-module\s+([a-z0-9-]+)/) || [])[1] || '?';
    const hs  = [...m.querySelectorAll('h1,h2,h3,h4,h5')].map(h => h.innerText.trim());
    const ps  = [...m.querySelectorAll('p,li')].map(p => p.innerText.trim())
                  .filter(t => t.length > 10);
    const imgs = [...m.querySelectorAll('img')].map(i => ({
      alt: i.alt || '', src: i.getAttribute('data-src') || i.src || '',
    }));
    return { cls, hs, ps, imgs };
  });
  return { title, aplus: true, mods };
})())

出版社は「登録情報」の欄から取りました。翔泳社・技術評論社・SBクリエイティブ・講談社・日経BP・インプレス・マイナビ出版・オーム社などの名前が入っていれば出版社、それ以外を個人・小規模としています。この分け方だと、ネクストステージ出版のような小さいレーベルも個人側に寄りますが、A+を自分で組むかどうかという観点では同じ側だと考えました。

標本の作り方には偏りがあります。

Kindleストアを2段階で検索しました。

  1. 人気順 — 「生成AI 開発」「プログラミング 設計」「Python 入門」「AWS 実践」「セキュリティ エンジニア」「React TypeScript」「データベース 設計」「機械学習 実装」の8語
  2. 新着順 — 「Kindle出版 エンジニア」「生成AI 副業 個人開発」「個人開発 アプリ 収益化」など6語

1では出版社の本ばかり出てきたので、個人出版を拾うために2を足しています。

つまり2つの群は同じ条件で集めていません。

新しさもジャンルも価格帯も揃っていないので、後で出す比率は「同じ土俵で測った差」ではありません。

検索結果に動画編集ソフトとウイルス対策ソフトが混ざっていたので、書籍でない6件は除外しました。

116冊中47冊。出版社57%、個人出版21%

冊数A+あり
出版社633657%
個人・小規模531121%
合計1164741%

出版社の側はかなり整備しています。翔泳社12冊、技術評論社9冊、SBクリエイティブ8冊が標本に入っていて、シリーズ単位で同じ型を使い回している様子が見えます。同じレーベルの本を続けて開くと、見出しの位置も画像の大きさも同じでした。1冊ずつ設計しているのではなく、テンプレートを持っているのだと思います。個人出版の21%は、逆に言えば8割が空欄のままということです。売れ筋に入っている本でも入っていません。

そして数字より効いたのは、次の話でした。

入れた11冊のうち10冊は、画像に焼き込んだだけだった

A+コンテンツのモジュールには、大きく2種類あります。

  • 画像だけのモジュール — 画像を1枚置く。テキスト入力欄がない
  • 画像+テキストのモジュール — 見出しと本文をテキストとして入れる

左が画像だけのモジュールで、見出しも本文も画像の中に焼き込む。テキストの入力欄がない。右が画像+テキストのモジュールで、見出しと本文をテキストとして入れ、画像は添えるだけ。個人出版でA+を入れた11冊のうち10冊が左側だった

抽出したモジュール名で切ると、こうなりました。

A+あり実テキストを持つモジュールあり画像モジュールのみ
出版社3618(50%)17(47%)
個人・小規模111(9%)10(91%)

個人出版で実テキストを入れていたのは、11冊中1冊だけでした。

残りは全部、文章ごと画像に焼き込んで縦に並べています。

実物を見ると、alt属性に文章がそのまま入っています。

ClaudeCode、気になる。でも「難しそう」で止まっていませんか?本書はClaudeCodeを初めて知った方…

Claude Code 小学生でもわかる 入門ガイド の alt テキスト

作るのは楽です。

Canvaか何かで1枚作って上げれば終わります。テキスト入力欄と格闘しなくていいし、レイアウトの自由度も高い。フォントも好きに選べます。

ただし、ここには前提があります。

商品ページを見る人の大半はスマートフォンです。

横970pxで作った画像が、375pxの画面に縮む。焼き込んだ文字が読めなくなった瞬間、そのモジュールの情報量はゼロになります。実テキストなら、少なくとも文字は文字のまま残ります。

出版社側は47%が画像のみだったので、この差は「個人だから雑」という話ではありません。ただ、個人出版の91%という偏りは、作りやすさに引きずられているように見えます。

型は5つに分かれた

47冊を眺めると、構成の型がだいたい5つに収まりました。

A+コンテンツの5つの型の骨格。型1は章ごとに画像と見出しを並べる章立て陳列、型2は収録用語を鉤括弧で並べるキーワード羅列、型3は読者の症状を並べる悩み提示、型4は文章ごと画像に焼き込む全焼き込み、型5は同じ著者の他の本を横に並べる比較表。実物のスクリーンショットではなく構成だけを描いた模式図

どれも実物のスクリーンショットではありません。構成だけを描いた模式図です

型1: 章立て陳列

各章を1〜2文で紹介して、章ごとに画像を添える。「読むと何が順に手に入るか」を見せる型です。出版社の主流でした。

AIエージェントの全体像 ・LLM / AIエージェントとは ・ReAct / Tools / Guardrails / RAG ・AIエージェントの活用事例

AIエージェント開発/運用入門

第3章では、メモリシステム(CLAUDE.md)や設定ファイル、Hooks、サンドボックスでClaude Codeを安全に・意図通りに動かす方法を解説していきます。

Claude Code実践入門

目次をそのまま貼るのとは違います。章番号と章タイトルの代わりに、その章を読むと何ができるようになるかを書いている。目次は商品ページの下のほうに別枠であるので、A+では役割を分けています。

型2: キーワード羅列

収録される用語を鉤括弧で大量に並べる型です。

「KISS」「DRY」「YAGNI」「PIE」「SLAP」「OCP」「名前重要」 「ブルックスの法則」「コンウェイの法則」「割れた窓の法則」「エントロピーの法則」「80-10-10の法則」「ジョシュアツリーの法則」「セカンドシステム症候群」「車輪の再発明」

プリンシプル オブ プログラミング

「101の原理原則」というタイトルに対して、その101個の中身を実物で見せています。

知っている語が3つあれば「読める本だ」と分かるし、知らない語が10個あれば「買う理由」になる。羅列が機能する数少ない場面だと思いました。

型3: 悩み提示

読者の現状から入る型です。同じ本の中で型2と併用されていました。

一通りプログラミングができるようになった。しかし、読みにくい、遅い、頻繁にエラーが発生する、書いたコードを修正すると動かなくなる等々、なかなか「よいコード」を書けないとお悩み…

「こういう人に向いています」と書くより、症状を並べるほうが自分ごとになります。

ただし外すと押し付けがましくなる型でもあります。

型4: 全焼き込み

前章で書いたものです。画像1枚のモジュールを縦に並べ、文章ごと焼き込む。個人出版の91%がこれでした。

型5: 比較表(Comparison Chart)

同じ著者・同じシリーズの他の本を横に並べる型です。A+を入れた47冊のうち 21冊(45%) が使っていました。個人出版だけで見ると11冊中6冊で、むしろ個人のほうが採用率が高い。

そして、この型には作業コストがほとんどかかりません。

Comparison Chartの画像は、自分で用意していなかった

比較表に並ぶ表紙画像のURLを見て気づきました。

https://m.media-amazon.com/images/I/51INww2tlEL.__AC_SR150,300___.jpg

__AC_SR150,300__ は、Amazonの画像配信が元画像を150×300に縮めるときに付ける変換パラメータです。つまりここに出ているのは、その本の商品画像そのものです。誰かが150×300の画像を作って上げたわけではない。

A+コンテンツのガイドラインには「ギャラリー画像を使い回さない」という項目があります。私は最初これを読んで、比較表に表紙を並べるのは規約違反になるかもしれないと考えました。

この項目には引っかからない、というのが私の読みです。表紙をアップロードしていないからです。

比較表でやることは、ASINを指定するところまでです。表紙はAmazonが商品ページの画像から自動で作ります。禁止されているのは自分で上げる行為のほうだと読みました。

これは確認できていない部分もあります。私が見たのは出力されたHTMLだけで、編集画面で画像アップロード欄が出るかどうかまでは踏み込んでいません。「アップロードされた形跡がない」までが観測した事実です。

いずれにせよ、複数の本を持っている書き手にとって、比較表は一番安い型です。画像を作らなくていい。テキストもほとんど要らない。それでいて、1冊の商品ページに来た人に他の本を見せられます。

A+に入れられないもの

作る前にガイドラインを読んだので、引っかかった箇所を残しておきます。

書けない補足
リンクAmazon内の別ページへのリンクも不可
価格・割引・「今すぐ購入」価格に触れた瞬間アウト
「Kindle Unlimited」KU対象であることを書けない
「新」「最新」「今」など時制の語期間限定に読める表現全般
レビュー・推薦文著名な出版物・公人の引用は最大4件まで、出典付きで可
返品・満足保証
他社・他者との比較自分のKDPタイトル同士なら可(だから比較表が成立する)
連続した全大文字画像内も見られる

画像は JPG / PNG、RGB、2MB未満、72dpi以上。日本のマーケットプレイス向けは kdp.amazon.co.jp から作ります。kdp.amazon.com からは amazon.co.jp に出せません。

そして、1つのASINに公開できるA+プロジェクトは、マーケットプレイス・言語ごとに1つだけです。共通のブランド説明と、本ごとの個別説明を、別プロジェクトとして重ねることはできません。個別を当てると共通が置き換わります。

私はどうするか

まだ入れていません。この記事は「入れるかどうかを決めるために数えた」段階のものです。

決めたことは3つあります。

型4(全焼き込み)は採りません。

作業は一番楽ですが、スマートフォンで文字が潰れたときに何も残らない。実テキストを入れるモジュールを使います。

比較表は入れます。

画像を作らなくていいうえ、複数冊ある側にしか効かない型です。持っている本の数がそのまま効きます。

まず数冊で出します。

1プロジェクトに何ASINまで入るのか、Amazonの公式ドキュメントに記載がありません。全部に当ててから差し戻されると8営業日が消えるので、通ることを確かめてから広げます。

効果については、この記事では何も言えません。

入れて、前後を測ってから書きます。


数え方の限界をもう一度。 標本116冊は無作為抽出ではありません。人気順と新着順の2つの検索を足して集めた便宜的な標本で、出版社群と個人出版群は集め方が違います。「出版社57%対個人21%」は、同じ土俵で測った差ではありません。

それでも、個人出版53冊のうち42冊が空欄だったことと、入れた11冊のうち10冊が画像に焼き込んだだけだったことは、標本の偏りでは説明しにくい規模だと思っています。

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