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ブログを4言語化したら、ポルトガル語版だけ流入が約4倍になった - 22日分の生データ

llmo多言語ga4個人開発tabnews

ブログを4言語化したとき、私の中には明確な序列がありました。英語が量で勝つ。スペイン語は話者数で2位。日本語は母国語なので安定。ポルトガル語はロングテール、ほぼ完璧主義の付け足し、くらいの位置づけでした。

22日後のGA4スナップショットは、その序列のすべての項目を否定してきます。

22日間の言語別PV。PT: 748, EN: 195, JA: 27, ES: 7

  • PT: 748 PV、709 sessions
  • EN: 195 PV、176 sessions
  • JA: 27 PV、29 sessions
  • ES: 7 PV、7 sessions

PT版が英語の約3.8倍、日本語の約28倍、スペイン語の約107倍を、同じブログ、同じ更新頻度、同じ書き手で叩き出しています。PT版の1記事(24時間自律エージェントのセキュリティ記事、375 PV)だけで、英語ブログ全体の合計を上回っています。

スペイン語が驚かせてくれることを期待して書き始めたのに、驚かせてきたのはポルトガル語で、スペイン語は静かに存在しないままでした。

数字を割り引いて読めるよう、前提を先に出しておきます

これは厳密な比較実験ではありません。1つのブログ(kenimoto.dev)に4つの言語ディレクトリ(/en//ja//pt//es/)を持たせて、記事をクロス言語のLLMパイプラインで翻訳し、人手でレジスタとローカルを調整しているだけです(BR Portuguese vs PT Portuguese、LatAm-neutral Spanish vs スペインSpanish)。期間は2026-04-30〜2026-05-21の22日分のスナップショットです。

記事数はEN 26本、JA 25本、PT 17本、ES 10本。PTは英語より記事が少ないのに、英語の4倍近い流入を取っています。

ここで読むのをやめても1つだけ持って帰ってほしいのは、言語の非対称性は記事数の非対称性を丸呑みにすることがある、ということです。飽和した言語に記事を1本足すより、空いている言語に記事を1本足すほうが、リターンは桁違いです。

なぜPTが抜けたのか

「ポルトガル語圏の読者は私のことが特に好き」というオチではありません。3つの非対称が重なっています。

3つの非対称: TabNewsコミュニティ、AI search SOV、llms.txt early-mover

1. TabNewsは英語圏にない「ちゃんとした入り口」

TabNewsはブラジルの開発者コミュニティです。フォロワー0でも、技術記事を投稿すれば、その日のうちに人間に読まれます。英語圏には等価なものがありません。Hacker Newsはありますが、無名で目に留まるハードルは比較にならないくらい高いです。

同じ記事をTabNews(PT)とDev.to(EN)にクロスポストすると、TabNewsは安定して referral 流入を返してきます。Dev.toはフォロワーがいないとほぼ無風です。この差がGA4の数字にそのまま乗ります。

2. ポルトガル語のAI search SERPは薄い

英語のLLMOコンテンツは飽和市場です。ChatGPT、Perplexity、Geminiでひとつのプロンプトを叩いたとき、まともな候補記事が何千とあります。個人サイトのshare of voiceは相対的にゼロに近づきます。

ポルトガル語はそこが薄いです。「spec-driven development com Claude Code」のような技術プロンプトに対して、AIが選ぶ候補のポルトガル語ソースは数えるほどしかありません。最初にまともな答えを出した記事が勝ちます。英語で同じことをやっても、その記事は埋もれます。

これはPeec AIのような多言語AI可視性ツールが示しているデータとも一致します。多くのブランドは英語を先に最適化して、残り114言語まで手が回らないまま放置するので、言語カバレッジ自体が moat になるのです。

3. /pt/llms.txtの early-mover

ブラジル主要の開発系サイトは、まだllms.txtを置いていないところが多いです。LatAm系の主要スペイン語サイトも同様です。kenimoto.devでは初日から /pt/llms.txt/es/llms.txt/ja/llms.txt/en/llms.txt を置いています。英語ではこれは普通の衛生管理ですが、ポルトガル語では多少の差別化要因になります。

以前 TRM がChatGPTからの流入を8,337%伸ばしたケースを書きましたが、LLMOの基本を地道に続けると効果は複利になります。多言語版は同じ複利を、その基本がまだ珍しい言語のほうが速く回す、ということです。

なぜJAはPTの1/27なのか(書いていて辛い)

日本語は私の母国語です。JA版は翻訳ではなく自分で書いているので、文章としては4言語中いちばんきれいなはずです。そのJA版が27 PV。にじゅう、なな。

正直な理由は、日本人エンジニアの多くは QiitaZenn を読むからです。自分のドメインで日本語で発信するのは、読者に普段の生息地から出てくることを求めているのと同じです。同じ記事をZennに出すと、初日から数十のリードがつきます。

つまりJAの戦略を変える必要があります。ブログはQiita/Zennと人間流入で競うのではなく、AIクローラーがインデックスする canonical archive として置く。Qiita/Zenn版が人間流入を取る。PT側とは逆の役割分担ですが、それでよいわけです。言語が違えば配信戦略も違って当然です。

なぜESは7 PVで、それは大半が私の責任なのか

ESは10本、翻訳もきれいなLatAm-neutralです。問題は配信の口です。TabNewsに相当する場所が、私にはまだ見えていません。Stack Overflow en españolはありますがコミュニティの形が違います。PlatziCódigo Facilito は素晴らしいですが、誰でも投稿できる場所ではありません。

つまりESは奇妙な中間地帯にいます。AI search の競争は英語より薄いので追い風が吹いているのに、コミュニティの入り口が無いから向かい風で相殺されている。結果として一桁PVです。きれいな解は持っていません。これからの30日のES実験は、巨大企業のゲートの内側ではない投稿ハブを探すことに使います。

初日に欲しかった多言語LLMOチェックリスト

これからブログをN言語に翻訳する人へ、過去の私に渡したかった playbook を置いておきます。

  1. 各言語について、まず「コミュニティの入り口」を特定する。 話者数ではなく入り口です。ブラジルにはTabNews、日本にはQiita/Zenn、英語圏にはHacker Newsがありますがハードルは高い。スペイン語LatAm圏は私もまだ探しています。
  2. /{lang}/llms.txtを初日に置く。 1言語15分です。非英語サイトでこれを置いている所はまだ少ないです。これはもっとも安いmoatで、llmoframework.com の多言語 playbook でも明示されています。
  3. GA4に言語プレフィックスフィルタを公開前に仕込む。 後から計測を後付けすると、月に2時間が分析作業で消えます。
  4. 全部翻訳しようとしない。 コミュニティの入り口に届きそうな上位20%だけ翻訳します。残りは配信チャネルの検証が済んでから。
  5. 各言語のAI search share of voice を別々のKPIとして追う。 ブランド関連プロンプトを各言語でChatGPT、Perplexity、Claude.aiに月次で投げます。非対称が大きいので、測らないと管理できません。

これからやること

  • PT発信頻度を週1から週2へ。TabNews referral が線形に伸びるか飽和するか測定。
  • JA戦略の再フレーミング。ブログはAIクローラー用 archive、Zenn/Qiitaは人間配信面。
  • ESのコミュニティ入り口探し。LatAmハブ3つで並行実験することも辞さない。
  • ENの頻度は据え置き。英語市場は飽和しているので、ENに記事を1本足す価値はPTに1本足す価値より低い。

「時間がないから多言語は無理」と思っていた人は、ROIがいちばん高い言語が話者数最大の言語とは限らない、と思ってみてください。AI search層で競合が薄く、開放的なコミュニティを持つ言語のほうが、リターンが速く来ることがあります。

私のブログではそれがポルトガル語でした。あなたのブログではインドネシア語かもしれないし、韓国語かもしれないし、ポーランド語かもしれません。確かめる唯一の方法は、各言語で1本ずつ書いて、GA4を繋いで、AIエンジンが最初にどれを引用し始めるかを見ることです。


多言語でのAI search可視性をどう計測してどう改善するかについて、より深い playbook を本にまとめています: LLMO: AI Search最適化。多言語の章は、上の数字が出てから3回書き直した章です。